今回は、私がバリ島で妊娠出産した話を共有させて頂きます。
もはや昔の話ですが、その時の驚きや当たり前がどんなものかどんな違いがあるのか、気になる方の参考になれば幸いです。
私が初めてバリ島で出産したのは1996年11月、
次に1999年6月、2000年12月と自然分娩で産みました。
まだインターネットが無い時代!
「旅するように暮らす」
と言えば聞こえはいいのですが、とにかく全部がぶっつけ本番な感じで、
友達いない、知り合いいない、ネット無いの三拍子そろった海外で
迷わず産む選択をしていた私、どれだけ呑気?!と言われれば
はい、それま~で~よ!
と言う事で、私が驚いたり実際に体験した妊娠出産についてシェアさせて頂きます。
ドクターを決める
1996年当時まだ健康保険がなく(公務員と一部の会社社員にはありました)
一般的には実費なんですが、当時夫が務めていたホテルが、
スリヤフサダ病院とメンバーシップ提携があり
スタッフと家族の治療、医療費全は無料で受けることができました。
これ本当に助かりました。
でも、「どのドクターに診てもらうか」は、
義理母の強い勧めで、義理母の甥っ子であるドクターに決まったんです。
このドクターで大丈夫?
の疑問は、少子化の日本に比べて、バリ島なら妊婦の患者数は圧倒的に多いはず!
という、ドクターの経験値を想定してお任せに納得していました。
(もちろんドクターによると思いますが)
妊娠期間中の数え方
バリ島では妊娠期間を9か月で数えます。計算方法が違うだけで、根本的には同じなんですが、産婦人科で〇〇週や〇ヵ月と言われても、
日本と違うのでご注意くださいね。
長男の時、日本でも一度だけ検診を受けたのですが、
予定日のずれが数日あったものの、ほぼ同じでした。
定期検診
当時、言葉の面や手続きなど私一人ではできないだろうと思われていたので、
いつも夫か義理母が付き添ってくれました。
実際、家の中で生活する際の日常インドネシア語以外に専門用語も出てきますし、
インドネシア語初心者で自分の状態を伝えるのは、難しい時も多々ありました。
なので夫が帰宅後送迎ができる、夜の診察時間は病院ではなく、
ドクターが個人で夜だけ開業しているクリニックへ行きました。
驚いたのは、毎回ビタミン剤を処方される事。
バリ島の食生活、栄養バランス悪いんでしょうかね…。
当時、私が得られる妊婦生活の情報は、
日本から送ってもらった1冊のたまごクラブだけだったのですが、
どこにもビタミンを処方されると書いていないので、不安になりつつも、
ビタミン剤は実費で勿体ないので飲んでいました。(笑)
日本との違い
そして、日本の様に、妊娠時の血液検査はなく、体重増加を注意されることも一切ありません。
その代わり当時は、母親学級もなく、とても自由な妊娠生活だった気がします。
日本の核家族と違い、親戚含め大家族で生活する人が多いせいか
本や母親学級などで習わなくても、
身近に先輩ママや赤ちゃんに接する機会が格段に多いのは、大きな違い。
実際、1歳未満の赤ちゃんの儀式だけでも3回もありますから。
長男の妊娠
長男の妊娠中は、6ヵ月で一度逆子になったのに何の指示も無かったので
たまごクラブに載っていた逆子体操を一生懸命し7か月半でぐるんと戻った感覚があったのが幸い!
また性別は、聞けば教えてくれますが、当時産むまで聞かずに過ごしました。
服を用意する面では、知っておけば良かったと思います。←親戚なので無料で見てもらっていたので聞きにくかったのもあります。
出産方法
長男の場合
私は運よく自然分娩が出来たのですが、日本と違い、浣腸はしてくれませんでした。
私の知る範囲では、帝王切開をした人が多いのですが、中には、
「奥さんが痛いと可哀そう」
という理由で夫が帝王切開を薦めた人の話を聞いた時は、
産むときに痛くないけど、産んだ後に傷が痛いのに…。
と、心配したものです。
当時は知り合いもいないので、知る由もなかったのですが、運よく自然分娩ができたと思ったのは、
本来なら帝王切開ではないか?と思う難産だったからです。
予定日を2週間過ぎても微弱神通で生まれる気配がなく
ドクター「いつ産みたいの?」と聞かれたので、
私「こっちが聞きたいわ!」
と心の中で!突っ込み。
そんなはっきり言います?!←怒っている訳ではありません!
結局、陣痛促進剤を使って産むことを薦められ、
すでに2週間過ぎて不安が増していたのもありますが、思いお腹を抱えて、正直少しでも早く産んでしまいたいと思っていたので
私「では、明日」本当なら今からでもと言いたいのを夜だったので我慢して
ドクター「月曜日にしたら?」
と、週末は看護婦さんが少ないので、週明けに…と誘導されたんです‼
が、既にこの2週間、今か今かと時計とにらめっこする日々が続いていたので、
やっと産める!めどが立ったことが嬉しく
私「いえ、明日産ませてください」と答えたのです。
「陣痛促進剤は痛い!」
と、たまごクラブに書いてあったのですが、初めてのお産、比べようもなく…
朝8時病院に到着して、点滴開始→どんどん痛くなり11:45には生まれたので
実質痛い時間が短くて良かったのですが、途中義理母持参の聖水を
コップ一杯飲むように出されたときは、驚きました!
時間的にはとても安産に聞こえますが、一度逆子になった長男は、
なかなか降りてこないので、切って鉗子で頭を挟んで出てきたそうです。
「そうです」というのは、実感が無かったので…。
麻酔なく↑ですから恐ろしいですね~
その感覚が無いほど、尾てい骨が痛くて、
背中をさすってくれる義理母の腕をつかんで
「そこちゃう!」と、位置をずらしたほど(笑)
そうして生れた時、へその緒が2回も首に巻き付いていていたので
うっすら紫いろをしていて泣きもせず、用水を吸引して初めて泣いたのですから、
帝王切開レベルの難産ではないか?と後から思ったものです。でもバリの家族は、これも聖水を飲んだおかげ”だと思っていた様子。信じるものは救われるということですかね。
長女の場合
長女を妊娠初期は、バイクの免許も取ってどこへでも一人で行ける環境。
バリ島の妊婦さんは、朝夕公園やビーチで散歩運動が一般的ですが、
私の場合、「ただ歩くのはつまらない」という理由で
マタハリデパートへ涼みがてら出かける運動が楽しかったんです。
というのも、夫の子供部屋に住んでいたので、エアコンはなく
長男はアイスのンをして昼寝をするという環境。
ま、そんな余談は置いといて。
二人目は子育てしながらの妊婦生活←当たり前。
で、常にバタバタしていたせいか、予定日より3週間も早く破水してしまいました。
夕方5時 破水→その後夫が帰宅
6時 病院に到着したものの、病室の空きがなく別病院に電話で確認。
しかし、既に6㎝開いているのでドクターストップがかかり、そのまま分娩台へ
7時過ぎドクターが到着後内診後
一旦夜の診察クリニックへ戻られました。
ドクター夜は忙しいはずなんですよね…ごめんなさい!だけど仕方ない。
ですが、7:45頃もう産まれそうな気配が迫り
慌ててナースにお願いしてドクターを呼んでもらって
夜8時には産まれたんです。
「いっぱい歩いたのね~」ってナースに驚かれたんですが、
実は産む2日前まで大きなおなかで一人でバイクに乗って
マタハリデパートに行っていたのですが、たまたま親戚の人に見られて驚かれたりしました。
もちろんそんな武勇伝はいえず…(笑)
危ないのでやめましょう!
とはいえ、
2時間のスピード出産は、毎日妊婦体操をしていたお蔭かもしれません。
でも、こちらでは付き添いナースさんが張ったお腹をキュッキュッツと
大きくつまむように刺激するんです。
まるで上から下に押し出すように…。
それが痛いのなんの!
もちろん軽くしか刺激は無いのでしょうけど、
張ってる時は痛い痛い。
やめて~っていうのも大人げないし我慢するんですけど。
何が正しいかは定かではないです。
次男の場合
長女が生まれて8か月で次男を妊娠したので、
更に慌ただしい妊娠期間。
ある日夜、熟睡から目が覚めるほどの腹痛を感じ
悪いものでも食べたのか?と下痢だと思ってトイレに行ってみても出ないし、
またウトウトしていたのですが、
朝5時、痛すぎて我慢できなくなりトイレでおしるしを発見!
下痢だと思い込んでいた痛みが陣痛だったと、そこで確信できたのは、
その日が予定日前日だったから。
朝6時には病院に行き、朝9時45分には産まれたので、
夜中に陣痛をスルー出来てラッキーだったという状態で、
3人共痛い時間が短かかったので、一般的には楽だったのかもしれないと思います。
バリらしさ
そして日本の出産との一番の違いは、胎盤を持ち帰ること。
産後、取り出した胎盤は、素焼きの小さなツボにいれて渡され
夫はそれを家に持ち帰り、生まれた子供の兄弟として家の庭に埋めるんです。
埋めた場所には、鳥籠をかぶせて、お供え物をしたり6か月もの間、
明かりを絶やさず大事にするんですよ。
子供がぐずったり泣き止まないときは、お線香と一緒に見守ってね~とお願いしたりもするんです。
ーーーーーーーーー
そして産後の大きな違いの一つに、生れてすぐポリオを飲まされています。
その他の予防接種はほぼ日本と同じですが、驚きですね!
が、特に問題なく成長しているので大丈夫なのでしょう。
また、こちらでは「お父さんがへその緒を切る」という記念の儀式の習慣はないので、
希望者は事前にしっかり頼んでおきましょう!
させてもらえるかはわかりませんが…。←私の夫なら怖がりそう…(笑)
産後の服装
生まれてすぐ赤ちゃんの顔をちらっと見せてくれた後、すぐ体を拭いたり服を着せて育児室へ連れていかれました。
赤ちゃんの服は日本の様に浴衣スタイルではなく、前ボタンが殆んど。
更に「グリタ」という直訳すると「タコ」という布をお腹に巻かれます。
その布は、赤ちゃんの腹部と背面を覆う幅の布に両端がひも状になっていて
お腹の前で結ぶことで、へその緒が取れるまで、クリップを抑えられるようになっています。
でもこれが面倒くさい!!
沐浴後に動く最中にいちいち結ぶのがとっても大変でした・・・。
そして、靴下と手袋も必ずはめられました。
育児書には、手足から体温調節をすると書いてあるのに、と不信に思いつつも、
郷においては郷に従えでしばらく続けていましたが、
これは、赤ちゃんが自分の爪で顔などをひっかかないようにという意味なんです。
それにしても靴下や手袋って、片方無くなりますよね…
とか思いながら過ごしていました!
ーーーーーーーーーーー
一方、産後の母体に施す状態も独特で、
お腹の上に1キロほどの砂袋を乗せてから赤ちゃんのグリタの大人版腰巻をされます。
めっちゃローカルで、ある意味旅気分を味わえます。
子宮が収縮するチクチクの痛みと併せて重みの圧も加わり、
重い生理痛のような鈍痛が続くんですが、なんたって、産んだ時より痛くない♡
縫われている時だって、針の感触はあるものの、痛みはさほど感じないから人間ってすごいですよね。
そんな体制で2時間を分娩台で過ごし、病室に移動。
因みに、何針縫ったか聞くと
「Banyak!=めっちゃいっぱい!」
と答えられました…(笑)
で、それ以上聞けなかったです~
ーーーーーーーーーーーーーーーー
入院生活
バリ島で自然分娩の場合早いと1泊2日。
私は、産んだ後の己の体の変化が思いのほか普段とかけ離れていたので、
体力的な自信が無くて2泊したんですが、帝王切開でも3〜4泊程度。
もちろん、個々の状態によるのですが、
日本に比べたら驚きの早さです!
経済的な面も関係あると思われますが、家の方が勝手が良いというのも実感でした。
VIP ルームのように、空調が整った1人部屋で衛星放送見放題なんて環境ならのんびりしたい気もしますが…。
因みに、私が出産した病院は、デンパサールのマタハリデパートのすぐ裏
ダルマウサダという入院専門の病棟で、今は有名なKFC
そう、ケンタッキーに建て替えられてしまいました。びっくりです!
動画で見たい方は、こちらをどうぞ↓
入院食はお部屋のカテゴリーによって全然違うので、
日本の出産入院「退院前の豪華なフルコース」が羨ましいなぁ~って
たまごクラブ眺めていたのが懐かしいです。
赤ちゃんの沐浴時間
私が入院していた頃は、朝5時とかに沐浴をさせるので、見学に行くために起きるのが大変で…。
結局、退院後に義理姉が手伝ってくれて初めて沐浴をさせた程。
日本のワンオペママ凄いです~って思います。
まとめ
これらは、全て私の体験談ですが、子供たちが成人した今、
既に古い話もあるかもしれません。
ですが、まだまだ受け継がれている日本と違う当たり前が沢山あるので、
もしこれからバリ島で出産をするかもしれない方の、参考になれば幸です。
妊娠初期、血液検査をしない。
妊娠中はビタミンを処方される。
浣腸せずに出産に挑む。
生れてすぐポリオを飲まされている。
お父さんがへその緒を着る習慣はない。
胎盤を持ち帰り大事にする。
赤ちゃんに腰巻グリタをする。⇦これはもうないかも
産後2時間は妊婦のお腹に砂袋をのせる。
入院日数が短い。
因みに、私の場合、結婚し国籍をインドネシアに変更したので、
ビザ手続きは必要なく、現地の出生届けや
KK(←カーカーと読む戸籍)のみ手続きをしました。